草食魚類の消化機能に関わる腸内細菌ゲノム解析

胃を持たない非常に珍しい魚類のヨダレカケが、どのようにして食べ物を消化しているかという謎を解明するために、腸内に生息する細菌の種類を世界で初めて調べました。食べ物としている藻類を分解するために、多くの種類の腸内細菌を腸内に飼っていることを発見しました。胃を持たない代わりに、腸内の細菌を積極的に利用して栄養源を得ていることが、細菌の DNA解析からわかりました。さらに、腸内細菌のVibrio種が、お互いのテリトリーを侵食しないという面白い現象も発見することができました。

本研究は,JAMBIOメンバーである島根大学生物資源科学部附属センター海洋生物科学部門(隠岐臨海実験所)の吉田 真明 准教授がゲノムデータ解析を担当しました。共同研究として、同生物資源科学部の川向誠教授と田部卓磨さん(当時大学院生)が菌類の培養を、秋吉英雄准教授(当時、現在は退職)が魚類の採集・飼育と形態分析を担当しました。島根大学生物資源科学部の特徴を活かした本共同研究は、2022年3月17日(木)に英文論文誌Scientific Reportsにオンライン版が掲載されました。
<掲載論文>
Gut microbiota analysis of Blenniidae fishes including an algae‐eating fish and clear boundary formation among isolated Vibrio strains
Sci Rep 12, 4642 (2022).
URL:https://doi.org/10.1038/s41598-022-08511-7