原始左右相称動物・扁形動物の“原型(プロトタイプ)脳”から神経内分泌系の進化起源を特定
岡山大学学術研究院自然科学学域(牛窓臨海)の坂本浩隆准教授(神経内分泌学)を代表とする研究グループが、脊椎動物の神経内分泌系の“要”である下垂体後葉ホルモン、「バソプレシン/オキシトシン」の同族ペプチドを原始左右相称動物の扁形動物ヒラムシ(海産プラナリアの仲間)から発見し、論文を発表しました。JAMBIOメンバーから岡山大学牛窓臨海(坂本竜哉教授、濱田麻友子准教授)、金沢大学能登臨海(関口俊男准教授)、島根大学隠岐臨海(吉田真明准教授)の研究者が協力し、ニュージーランド・オークランド大学/オタゴ大学、英国オックスフォード大学を含む国際的研究チームです。
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id927.html
この「バソプレシン/オキシトシン」ペプチドは、扁形動物門(Platyhelminthes)で発見したことからプラチトシン(platytocin)系と名付けました。プラチトシン系は、扁形動物においても哺乳類と同様に抗利尿ホルモン(バソプレシン)として機能していることを見出しました。これらの成果により、これまで不明であった神経内分泌系の進化起源の解明が期待されます。
論文情報は下記のとおりです。
Vasopressin–oxytocin-type signaling is ancient and has a conserved water homeostasis role in euryhaline marine planarians
「原始左右相称動物・扁形動物ヒラムシから明らかになった抗利尿ホルモンの進化起源」
掲載誌:Science Advances(サイエンス・アドバンシズ)
著 者: Aoshi Kobayashi, Mayuko Hamada, Masa-aki Yoshida, Yasuhisa Kobayashi, Naoaki Tsutsui, Toshio Sekiguchi, Yuta Matsukawa, Sho Maejima, Joseph J. Gingell, Shoko Sekiguchi, Ayumu Hamamoto, Debbie L. Hay, John F. Morris Tatsuya Sakamoto and Hirotaka Sakamoto*(責任著者)
DOI:https://doi.org/10.1126/sciadv.abk0331